半月損傷

図1−1.jpg

半月は大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨からなるクッションの役割を担う組織で、内側と外側 に1枚ずつあります。上から見た形は三日月状ですが、なぜか半月と呼ばれています。(右図→)

A: 正常の外側半月、B: 正常の内側半月

図2−2.jpg

大腿骨は内側と外側に球状の関節面をもち、それぞれ平らな脛骨の関節面と接しています。球と面で接するため、互いの接触面は1点になり、周囲には間隙ができます(←左図a)。半月の特異な形状はこの間隙を埋めるためのもので、球状の大腿骨顆部を包み込み、脛骨への接触面積を広げ荷重を分散しています(上図b↑)。屈伸に伴う大腿骨顆部の移動にもよく追従して適合性を保持します(上図c↑)。

0〜90 °の範囲で、膝に加わる荷重の少なくとも50 %が半月を介していると考えられています。半月板が切除されると,この荷重分散の働きが失われ、かつ、適合性が悪くなることで関節内の摩擦も約20%程度増加するといわれています。

半月 図 損傷分類 .jpg

スポーツ中に膝をひねったり、深い屈曲位から急に膝を伸ばしたりした時に、半月に裂け目(半月損傷)ができることがあります(右図→)。

常に上下の骨に挟まれた状態にある組織なので、裂け目ができると、関節運動に伴って鋭い痛みやひっかかりを感じるようになります。数日から数週間の安静でおさまるようなら心配はいりませんが、症状があるのを放置して時間が経つと、水腫や大腿四頭筋萎縮(大腿周径差)も出てきます。さらに時間が経つと、軟骨損傷が進み、変形性膝関節症の発症・進行を止められなくなってしまいます(スイッチが入ってしまいます)。

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